こんにちは。
フィリピン留学エージェント、セブイングリッシュのケイコです。
8月の夏季ピークシーズンを迎えフィリピン各地で留学生が多いこの時期、渡航前に「デング熱が流行っている様ですが大丈夫なのでしょうか??」というお問い合わせを頂くことがあります。
日本のメディアでもフィリピンのデング熱の流行が報道されていて、不安を感じる方も多いと思います。
フィリピン現地の方と語学留学生では、生活圏も住居環境も異なるので、対策を十分にとればデング熱感染のリスクはかなり低いと言えます。
今年のデング熱の最新情報、セブ島とマクタン島の語学学校の蚊の駆除対策、よくある質問をまとめました。
1. デング熱、2019年8月現在の状況
下記はフィリピン保健省の報告です。
“Department of Health (DOH) today requested the National Disaster Risk Reduction and Management Council Chair Secretary Delfin N. Lorenzana to convene a full council meeting and declared a national dengue epidemic in the wake of the 146,062 cases recorded since January up to July 20 this year, 98% higher than the same period in 2018. There were 622 deaths.”ー「DOH DECLARES NATIONAL DENGUE EPIDEMIC」Press Release/6 August 2019
2019年1月から7月20日までに146,062人のデング熱感染者が報告され、2018年の同時期の感染者数と比べ増加率98%と、フィリピン全土でデング熱が脅威を振るっていることが分かります。
7月15日のデング熱への警告宣言発出に続き、8月6日には「デング熱の流行」を宣言し、警戒を呼び掛けています。
雨の日のセブ市内の様子です。
雨季(6月~11月頃)は住宅密集エリアや自然が多い場所で、蚊が発生しやすい時期です。
デング熱はウイルスを持った蚊から感染するため、蚊や感染者が多い場所では感染のリスクが高まります。
その為、フィリピン人のデング熱感染者の増加数と、留学生のデング熱感染者数は必ずしも比例する訳ではありません。
後述しますが、語学学校では蚊の発生を防止&蚊の駆除対策を行っていますので、一般の現地の方が生活しているエリアと比べて蚊が少ない環境で過ごすことができます。
2. デング熱について
2-1. 感染経路
「デング熱はデングウイルスを持ったネッタイシマカやヒトスジシマカに刺されることで感染します。感染した人を蚊が刺すと,蚊の体内でウイルスが増殖し,その蚊に他の人が刺されると感染する可能性があります。人から人へ直接感染することはありません。」-外務省海外安全ホームページ 「デング熱にご注意ください」
【ヒトスジシマカ(左)】ヤブカの一種で、早朝と夕方に特に活発に活動します。
【ネッタイシマカ(右)】ヤブカの一種で、日中から夕方に活発に行動します。
※すべての蚊がデングウイルスを保有しているわけではないので、蚊に刺されたからといって必ずしもデング熱にかかる訳ではありません。
2-2. 症状
「デングウイルスに感染してから発症するまでの期間(潜伏期間)は2 ~14日(通常3~7日)であり,およそ2~4割の人に発症すると言われています。発症すると38~40℃の発熱,激しい頭痛,関節痛,筋肉痛,発疹などが現れます。通常3~5日で解熱し,解熱とともに発疹が現れます。」外務省海外安全ホームページ 「デング熱にご注意ください」
2-3. 治療方法
「現在,デングウイルスには有効なワクチンや特異的な治療法はなく,対症療法が行われますが,血小板が低下し,出血を起こしやすくなるので,通常使用される鎮痛・解熱剤は控えるべきです。治療には小児にも使われるアセトアミノフェン(海外ではパラセタモールとの名で販売されています)が使用されます。蚊に刺された後に発熱,関節痛などが続く,または発疹が出るなど,デング熱を疑う症状が現れた場合には,医療機関への受診をお勧めします。」外務省海外安全ホームページ 「デング熱にご注意ください」
上記のような症状が表れたら、自己判断で薬を飲むのではなく、学校職員へ報告し、病院へかかるようにしましょう。
重症化する可能性もゼロではありませんので、早期受診するようにして下さい。
2-4. 予防
「デング熱には有効なワクチンもなく,蚊に刺されないようにすることが最善の予防方法です。次の点に十分注意の上,感染予防に努めてください。また,症状の有無にかかわらず,帰国後少なくとも2週間程度は忌避剤を使用し,蚊に刺されないための対策を行ってください。」外務省海外安全ホームページ 「デング熱にご注意ください」
デング熱対策については以前のブログ記事「セブ医科大病院で、デング熱の疑いがある患者1日に76人」(2016/10/3公開)にまとめていますのでご参照ください。
3. 日本帰国時及び帰国後の対応(日本国内の検疫について)
・不安な方や発熱等の症状のある方は⇒帰国時に空港の検疫所でご相談いただけます。
・帰国後に心配なことがある場合⇒最寄りの保健所等にご相談いただけます。
・帰国後発熱などの症状がある場合⇒医療機関を受診してください。
4. セブ島とマクタン島の語学学校のデング対策
当社セブイングリッシュのオフィスはセブ市内のコンドミニアムの3階にあります。
1階の屋外駐車場エリアは夕方に蚊がいますが、オフィス内で私が蚊を感知できたのは1年で1,2回くらいです。
ネッタイシマカ・ヒトスジシマカは、カ科ヤブカ属に分類され、植物の茂った場所に発生しやすいので、自然豊かな環境にある語学学校では特に蚊の対策に力を入れています。
“蚊の撲滅”の具体的な対策はこちら↓↓
・蚊の幼虫を発生させない・・蚊の幼虫は、バケツや空き缶、小さな水たまりでも生育できるので、学校内の木や草を刈ったり、排水溝やゴミ捨て場の清掃を徹底して蚊の幼虫が発生しないようにしています。
・蚊の成虫駆除・・定期害虫駆除を実施しています。
一例として、今年のデング熱感染者が8/20現時点でゼロの、セブ郊外の「EV ACADEMY校」と「English Fella 1校」、マクタン島の「Philinter校」のデング熱対策をご紹介致します。
4-1. セブ郊外「EV ACADEMY校」のデング対策
「EV ACADEMY校」の今年のデング熱感染者数はゼロです。(2019年8月15日現在)
セブシティは比較的にデング熱に感染される確率は低いと思われますが、外部外出の際は虫よけスプレーを使用するようオリエンテーションの際に注意喚起を促しています。
もし感染されたとしても、学校側で生徒様の回復のために全力でサポート致します。
※ デング熱は医療機関の治療をしっかり受ける場合、死亡率はインフルエンザより低いと言われております。
フィリピン全国で死亡した殆どの人は医療機関が利用できない貧困層か免疫力の弱い小さい子たちです。
1.) 校内の害虫駆除(ペストコントロール)現状
・校内(外部)定期害虫駆除月1回実施(煙タイプ)
・内部寮掃除後、週1回以上害虫駆除(薬屋で売っているスプレータイプ)
2.)その他の対策について
・校内エレベーターにデング熱予防のお知らせ掲示
・初日のオリエンテーションの際にデング熱について対策説明
“デング熱:蚊を媒体として人間に感染し、血液中の血小板が減少する感染症の一種です。高熱が何日も続いている、体に赤い斑点が出ている、鼻血が何度も出ている、等の症状がある場合にはスタッフに相談し、必要な場合には病院で診察を受けてください。”―初日のオリエンテーション資料からの抜粋
4-2. セブ郊外「English Fella 1校」のデング対策
「English Fella 1校」の今年のデング熱感染者数はゼロです。(2019年8月20日現在)
1.)害虫駆除(ペストコントロール)
週に2度学校内木や草、排水溝、ゴミ捨て場などの清掃の徹底とペストコントロールを実施しています。
また、同時にお部屋にも害虫避けのスプレー散布行っています。
2.)お部屋内で使える殺虫剤(スプレー)を設置
4-3. マクタン島「Philinter校」のデング対策
「Philinter校」の今年のデング熱感染者数はゼロです。(2019年8月18日現在)
追記(8/22):8月22日現在デング熱感染者が2名発生との報告を受けています。
蚊の撲滅の取り組みはこちら↓↓
1.) 害虫駆除
2週に1度、土曜日に学校校舎内、内部寮内、プール回り、芝生など学校の敷地内ほぼすべてに殺虫剤をまき、害虫駆除を行い98%以上の蚊を退治しています!
2.) 草刈り
1~2週間に1度定期的に草刈りを行い、なるべく蚊や他の虫が隠れられるところを排除しています。
3.) 水分除去
雨が降った後は特に、藻などが発生しやすくなり蚊の温床になりやすいので、そういった部分を見つけ次第、取り除いています。
5. よくある質問
最後に、デング熱についてのよくある質問にお答えします!
Q. デング熱で現地で病院にかかるとき、海外保険は適用されますか。
はい。
ジャパニーズヘルプデスクが提携しているキャッシュレス診療対応可の保険会社については「留学期間別|フィリピン留学に最適な海外旅行傷害保険」をご参照ください。
Q. デング熱で入院する場合、治療費はどれくらいになりますか。
入院・治療費は、10万ペソ(約21万円)~と、高額です。
入院が長引くと、17万ペソ(約35万円)を超えるケースもありますので、留学の際には海外保険へ必ず加入いただくようお願いします。
Q. 寮で蚊取り線香は使えますか。
蚊取線香は学校の寮では使えません。
コンセントに挿すタイプのリキッド式電気蚊取り器やベープマットが現地のスーパーで売ってありますので、そちらをご利用ください。
Q. セブ島以外の地域でも流行していますか。
フィリピン国内で首都マニラより南の地域で感染者数の増加がみられ、マニラ以北のバギオやクラーク、アヘンレス地域は今年の流行の影響は特に受けていないようです。
まとめ
フィリピンで猛威を振るっているデング熱。
蚊に刺されないことが一番の対策です。
外出時には長袖や長ズボン等を着る、虫よけスプレーやローションを必ずするといった対策を各自行いましょう。
デング熱のフィリピン現地の情報ついては下記の情報もご参照ください。
・外務省海外安全ホームページ 「【領事班からのお知らせ】デング熱に関する注意喚起
・厚生労働省 デング熱について
・フィリピン保健省ホームページ(英語)「DOH DECLARES NATIONAL DENGUE EPIDEMIC」